研究内容
自動運航と
デジタルツイン
Autonomous vessel and digital-twin
海上輸送量の増加に伴い世界的に船員需給が逼迫する見通しが示されています。また、国内海運も船員不足に悩まされており、運航の自動化の必要性が高まっています。一方、海難事故の約8割が人為的要因により発生していることも指摘されており、自動運航化により、より安全・安心な船舶運航を可能となると考えられています。
船の離着桟は、船の能力や港の形状により大きく変化します。次の動画をご覧ください。
本研究室では、自動運航に必要な様々な技術要素について、いくつもの側面から実施しています。
デジタルツインによる高精度な運動シミュレーション手法の開発
(筑波大学・横浜国立大学との共同研究)
デジタルツイン
NNによる動的モデルの推定
NN(ニューラルネットワーク)を用いた動的モデリングを行った結果です。とてもよく実験の軌跡を再現できることが分かります。
デジタルツイン
大域的最適化によるモデル逆推定
従来から用いられている運動方程式の係数を強力な最適化手法に基づきモデルを逆推定した結果です。とてもよく実験の軌跡を再現できることが分かります。
制御理論と人工知能との融合による自動離着桟システム手法の開発
(筑波大学・横浜国立大学との共同研究)
オフライン制御
下の衛星写真は大阪港です。フェリーは実際には次の動画のような離着桟操船を行います。
* created by SIS based on 1:1,000,000 INTERNATIONAL MAP data and seamless photo data (Geospatial Information Authority of Japan) (http://maps.gsi.go.jp/)
強力な最適化法により、オフラインの着桟経路を最適化した結果です。実際の船が行う着桟とほぼ同じ動きをします。
上と同じく、オフラインの離桟経路を最適化した結果です。こちらも、実際の船と同じ軌道が得られています。
強化学習などによるオンライン制御
オンライン制御には様々な考え方がありますが、この研究室ではオフライン制御の結果を利用することが最も効率的と考えています。以下の動画では、あらかじめ設定した軌道を浅い層をもつニューラルネットワークでトラッキング制御した結果です。
さらに以下の動画では、強化学習によるトラッキング制御を行った結果です。
模型船の制御システムとシミュレーターの開発
この研究室では、自動着桟技術の検証などに、模型船を用いています。研究室の目の前の池で、毎週(毎日?)実験を行います。そのための模型船は現在2隻。
いずれもほぼ同じシステムで動いており、ミドルウェアにはROS(Robot Operating System)が使われています。様々なセンサーからの情報をカルマンフィルタで処理し、制御に生かします。
模型船の制御システムの図
高度な自動離着桟技術
高機能VecTwin舵を用いると自動離着桟を容易に行うことができます。これは日本財団無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の一つとして行われた実験動画です。入船・出船の着桟が、なんと固定ピッチプロペラでかつそのプロペラ回転数を一定の条件で行えています。この実験では強化学習により獲得された制御則が用いられていますが、他の制御則でも同様に着桟が可能です。