研究内容

IMOの
新しい非損傷時
復原性基準
のための研究

IMO's new Intact Stability Criteria

IMOでは、現行の経験則的基準で対応できない、以下の動的危険モードについて、物理則ベースの基準案を策定中。このための研究を実施中。

パラメトリック
横揺れ

ブローチング

追波中復原力喪失

デッドシップ状態の
同調横揺れ

パラメトリック横揺れ

1998年、北太平洋で、ポストパナマックスコンテナ船が40度の横揺れ

以後、他の大型コンテナ船や自動車運搬船でも同様な横揺れの報告多数。

2波で1回の横揺れが発生

同調横揺れよりも大きく揺れ、線形理論では説明不可能。

原因は、横揺れ運動方程式中のパラメータである復原力係数が周期的に変化するため。
(パラメーター励振現象のひとつ)

研究課題

パラメトリック横揺れ

不規則波中パラメトリック横揺れの推定可能な数値シミュレーションの実現

その発生確率の理論推定(局所分岐理論)

IMO新基準案の提案と検証(2010年に原案を提出し、IMOでの統一基準案として審議のベースとなっている)

パラメトリック横揺れ防止用新船型やアンチローリングタンクの検討(特許2件成立)

パラメトリック横揺れの数値予測

ブローチング

フルード数0.3を越えるカーフェリー、艦艇、ヨットなどで発生

船が下り波面に捕捉される波乗り現象が発生し、そこで最大限の操舵努力を行っても保針できず激しい回頭運動が起こり、それによる遠心力で転覆の危険にさらされる。

力学的には、波に抜かれる周期運動が非周期運動に遷移する現象で、非線形力学の大域的分岐理論で説明可能。

研究課題

規則波中のブローチングを推定可能な数値シミュレーションの実現

ブローチング・波乗りの発生条件を直接推定できる理論の提案(大域的分岐理論)

不規則波中でのブローチング確率推定法の提案と検証

IMOへの基準案提出中(日米共同提案)

ブローチング防止装置

ブローチング発生確率の推定

追波中復原力喪失

この現象による大型カーフェリーの大傾斜事故が頻発

波の山が船体中央にあるとき横復原力が著しく低下

これにより横傾斜すると水面下形状が左右非対称となり、蛇行運動が発生、その遠心力によりさらに横傾斜角が増加。

追波中復原力喪失現象の予測

デッドシップ状態の同調横揺れ

研究課題

不規則横波横風中の転覆模型実験

不規則横波横風中の転覆確率の推定理論の改良と実験的検証

IMOに我が国から提出中の基準案の検証と改良