船舶の海洋生態系への影響

目 的

クジラ,イルカなど海棲哺乳類に対する人間の活動を原因とする海中騒音の悪影響が近年,国際的に懸念されるようになってきた。船舶のプロペラや機関の発生する騒音,そして海上風力発電や海底掘削作業の騒音により,タイセイヨウセミクジラのエコロケーションに用いる鳴音が以前よりも大きくなったといわれている。このような動きは,我が国の船舶の設計・運航に大きな影響を与え造船や海運業の今後を左右する可能性もある。

現在船舶側で騒音レベルを下げる技術自体は艦艇や調査船などを対象に進んでいるが,その要求レベルに応じて相応のコストが生じる。そこで,生物側の許容値を正確に指定できれば,コストエフェクティブな騒音対策(機関の防振支持など)が船舶建造時に選択できる。このようなデータなしには環境団体の圧力のため過度の対策となって,海上輸送の無意味なコストアップとなることが懸念される。そのため生物側の許容値を実測し,過度の規制を防ぐことが必要である。

これまでに実施または実施中のプロジェクト

船舶騒音が海棲哺乳類の生態に与える影響についての研究

(科研費挑戦的萌芽研究:2013年~2014年)

太平洋上練習帆船でのザトウクジラの検出可能距離の推定 (機走と帆走の比較)

小笠原近海でのザトウクジラ

練習帆船からの海棲哺乳類用音響センサーの曳航

船舶水中騒音の海洋生物への影響に関する調査研究

(日本船舶技術研究協会:2015年~)

小笠原諸島での現地音響調査結果報告について