国際共同研究体制
研究体制
船舶海洋工学の分野で、集中的な研究とそれによる学術レベルの引き上げが必要と考えられているものは、1)荒天波浪下での青波衝撃など、強非線形流体現象をより現実に近い形で数値解析できる方法の確立、2)極限波浪荷重による構造物の大変形、それによる流体現象・波浪荷重の変化といった真の流体・構造連成問題に対する動的解析手法の確立です。これらは確かに挑戦的で難しい研究課題ではありますが、先端的な数値解析法が確立されれば、津波や台風による構造物の崩壊予測、それに基づく防災・減災対策を行うことができ、学術的な進歩だけでなく、社会的インパクト・貢献も大きくなります。
主担当研究者である大阪大学・柏木は、国際共同研究の相手先であるフランス・ナント中央理工科大学(ECN)のFerrant教授、ノルウェー理工科大学(NTNU)のFaltinsen教授と長年に亘る強い信頼・協力関係にあります。そこで、ECN、NTNUとの共同研究に関して、研究計画の策定、事業の実施、若手研究者の海外派遣のコーディネート、成果の報告などを行います。担当研究者である大阪大学・藤久保は、NTNUに1年間滞在した経験を持ち、その後もNTNUのMoan教授とは共同研究や国際ジャーナルの編集などを通じて、研究交流・人脈の面で太いパイプを持っていますので、構造力学の観点から研究計画の策定、事業の実施、海外派遣若手研究者の支援を行います。また神戸大学・小林は、阪大・神大・阪府大間で実施している関西海事教育アライアンスを代表する一人として、巨大津波や台風時の荒天波浪による湾内浮体の挙動、避航方法に関する力学的研究に関する研究計画の策定、事業の実施を行い、さらに大阪府立大学・深沢は、船舶の非線形流力弾性挙動の研究に関してNTNUのMoan教授と国際共同研究の実績もありますので、大阪府立大学の代表として、流体・構造連成解析法、大規模構造解析法の研究を企画・実施します。


事業実施・支援体制
本事業を関西海事教育アライアンスの枠組み内での「次世代を担う若手研究者育成プロジェクト」と位置づけ、自らの大学関係者だけでなく、参加大学から推薦される全ての若手研究者に対して共通の支援体制を提供します。また担当研究者の全員がプロジェクト運営委員会のメンバーとなり、国際共同研究の計画や進捗状況の確認、資料提供の支援、研究発表や関連する国際交流・国際セミナーの企画などを運営委員会で討議・決定します。

関西海事教育アライアンスとは

2007年10月、大阪大学大学院工学研究科、神戸大学大学院海事科学研究科、大阪府立大学大学院工学研究科が包括連携協定を取り交わし、2008年4月より大学院の連携授業を開講しました。海事クラスターを形成している関西地区において、3大学は、海事教育に関するアライアンスを組み、さらに産学官連携を強力に進め、国際的な海事分野の教育・研究の一大拠点を目指します。これが関西海事教育アライアンスです。

関西海事教育アライアンス
大阪大学 地球総合工学専攻 船舶海洋工学大阪府立大学 航空宇宙海洋系専攻 海洋システム工学神戸大学 大学院海事科学研究科NTNU-Trondheim Norwegian University of Science and TechnologyECN Ecole Centrale de Nantes