プログラム概要
事業計画・目的、これまでの進捗状況
【事業計画・目的】
海洋工学分野での先端的重要研究課題である「強非線形水波による大規模な流体・構造連成応答解析」に関する国際共同研究を実施するために、次世代の研究教育を先導すべき若手研究者を、世界トップレベルの研究機関(ノルウェー理工科大学、フランス・ナント中央理工科大学)へ派遣し、流体・構造連成問題に関する先端的共同研究を通して、学術の発展、人材の育成を図る。これらを効果的に行うために、船舶海洋工学分野で指導的立場にあり大学院教育の連携で実績のある「関西海事教育アライアンス」を形成する3大学(大阪大学、神戸大学、大阪府立大学)が、これまでに培ってきた研究教育能力の融合、人材交流を行い、継続的に頭脳循環させる体制・国際ネットワークを構築する。
 流体力学と構造力学の融合・同時解析のためには、先端的な数値流体力学的計算手法や高速・高精度な大規模構造解析法に関する研究の推進が必要である。この学術的進展によって大規模で高精度な流体・構造連成解析が可能となれば、巨大津波や荒天下での強非線形波浪による浮体・沿岸構造物の損壊など、自然災害の定量的な予測が可能となる。

【これまでの進捗状況】
(1)強非線形波浪と浮体の相互作用に関する数値流体力学的研究
(2)大規模で高速な流体・構造連成計算法の実用化に関する研究
(3)長大弾性管の挙動推定法、渦による振動(VIV)低減法とその応用研究
を開始するための海外研究機関との打ち合わせ、研究環境の整備を目的として、2012年12月に、若手研究者2人と主担当研究者(柏木)が Norwegian University of Science and Technology(NTNU、ノルウェー)を訪問し、Moan 教授、Larsen 教授、Faltinsen 教授と情報・意見交換した。また別の若手研究者2人が Ecole Centrale Nantes(ECN、フランス)を訪問し、生活環境・施設の見学をするとともに、Ferrant 教授、Touze 教授らと研究の打合せを行った。2013年2月には、大阪府立大学・博士後期課程学生の生島一樹をNTNUへ半年間、2013年3月には大阪大学の橋本博公・助教をECNへ 1 年間派遣した。さらに2013年4月には、大阪大学の飯島一博・准教授をECNへ半年間派遣した。彼らの滞在先での様子は「滞在報告」として、頭脳循環プログラムのホームページに掲載している。大阪大学の千賀英敬・助教のNTNUへの派遣は、国内での実験や研究室の事情によって当初の計画より遅くなったが、2014年1月から2015年3月までの予定で出発した。神戸大学から派遣する研究者の決定に時間が掛かったが、笹 健児・准教授を NTNU の Faltinsen 教授に受け入れてもらえることになり、2014年2月から 1 年間の予定で出発した。(2014年2月28日記)


「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」について
頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」は、我が国の若手研究者が世界水準の研究に触れ、世界トップレベルの様々な研究課題に挑戦する機会を拡大するとともに海外の大学等研究機関との研究ネットワークを強化するため、日本学術振興会(JSPS)によって国際交流事業の一環として立ち上げられたプログラムです。国際共同研究に携わる若手研究者の長期海外派遣を支援し、国際的な頭脳循環の活性化を通じた我が国の学術の振興を図ることを目的としています。
大阪大学 地球総合工学専攻 船舶海洋工学大阪府立大学 航空宇宙海洋系専攻 海洋システム工学神戸大学 大学院海事科学研究科NTNU-Trondheim Norwegian University of Science and TechnologyECN Ecole Centrale de Nantes