研究紹介

船舶のオンボードモニタリングデータ解析

オンボードモニタリングデータとは、実航海における船速やエンジン出力、プロペラ回転数,船体運動、部材応力など、船体やそのシステムに生じている現象を、船上でリアルタイムに計測したデータの総称です。このデータを解析することで、その時の実海域推進性能を明らかにするのが研究の目的です。船舶は進水した直後から、経年や汚損による性能劣化が始まりますが、データ解析によりその時の性能を知ることができ、運航や設計に生かすことができるでしょう。船を人に例えるならば、目や耳や肌で感じる刺激をもとにその時の体調を知った上で健康に活動するようなものです。

この問題に力学的アプローチと統計的アプローチの両面から取り組んでいます。力学的アプローチでは、船体運動と波の力学関係を状態空間モデルで表現し、それにモニタリングデータをあてはめることで、力学パラメータ(すなわち運動性能)の推定が可能です。下図はその概念を示しています。

統計的アプローチではモニタリングデータ間の相関を多変量統計解析モデルで表現し、それにモニタリングデータをあてはめることで、燃費性能の推定や要因分析が可能です。図は統計的アプローチの一例です。船速と外乱(波・風)に応じて、エンジン出力(power、燃費を表す)が変化する様子をとらえており、しかも、外乱影響の大きさを分析(要因分析)しています。

BACK TO INDEX