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 「海洋技術創出シンポジウム」  (第11回海中システム研究会)

 

「海洋技術創出シンポジウム」  (第11回海中システム研究会 

日時:平成22728日(水)13:00-17:00

場所:大阪大学吹田キャンパス 理工学図書館 図書館ホール(西館3階)

参加費: 二千円

懇親会

日時: 同日  17:30-19:30

場所:カフェテリア匠

懇親会参加費:三千円

プログラム

                    司会:加藤直三(大阪大学大学院工学研究科 教授)

13:0013:05  開会の挨拶

                     大阪大学大学院工学研究科・地球総合工学専攻・

                      船舶海洋工学部門 部門長 藤久保 昌彦 教授

  13:05-13:35 INPEXの取り組むLNGプロジェクト(イクシスとアバディ)の紹介とアバディLNG-FPSOについて

                        国際石油開発帝石()  寺嶋 健 氏

INPEX (国際石油開発帝石)は、「イクシス」(オーストラリア)と「アバディ」(インドネシア)の世界でも有数の規模となる2つの大型LNG プロジェクトをオペレーター(操業幹事会社)として取り組んでいる。ともに2000年に当社が発見したガス田で、現在「イクシス」ではFEED(基本設計)を、「アバディ」はFEED準備を行っている。両プロジェクトから生産されるLNG の量は、合計で日本のLNG 輸入量の約2 割に相当する大規模なもので、INPEX はLNG の安定供給、そしてINPEX の企業価値向上に貢献する最重要プロジェクトとして会社をあげて注力している。この2つのLNGプロジェクトの概要を紹介するとともに、特にアバディの開発に際して当社が採用しようとしているLNG-FPSOにつき、その技術面を中心に紹介する。

 13:35-14:05 日本における海底鉱物資源開発の現状

     (独) 石油天然ガス・金属鉱物資源機構  岡本 信行 氏 

 14:05-14:35  ガスハイドレートの機能と気体の貯蔵・輸送技術

           大阪大学大学院基礎工学研究科 大垣一成 教授・菅原 武 助教

ガスハイドレートは、水分子が水素結合によって構築する籠の中にゲスト分子を包接して生成する固体結晶である。メタンハイドレート内に約170倍に圧縮された状態でメタンが含まれることなどから、ガスハイドレートは、エネルギー資源として期待されるだけではなく、天然ガスや水素、ラジカル種の貯蔵・輸送媒体としても注目されている。本講演では、ガスハイドレートの基礎物性をはじめ、天然ガス・二酸化炭素置換プロセスの概念、ハイドレートを利用した天然ガスの新規輸送技術、水素の貯蔵・輸送技術開発の現状、ハイドレートの生成速度向上の可能性について、我々の研究グループの結果を基に概説する。 

 14:35-15:05  国家基幹技術「次世代深海探査技術」の開発状況について

() 海洋研究開発機構海洋工学センター 松浦 正己 氏、井上 朝哉 氏

国家基幹技術「海洋地球観測探査システム 」は、「次世代深海探査技術」など幾つかの技術開発分野を統合して開発を行っている。「次世代深海探査技術」は、自在かつ長距離・長時間を航走し、精密な海洋データを取得することのできる巡航探査機の開発、また、試料採取や海底ケーブルの保守、観測機器の設置など重作業から精密作業をこなせる無人探査機の開発からなり、本年度が第一次計画の最終年度を迎え、次期計画を見据えて実用化を睨んだ研究開発を進めている。これらの技術は、海洋科学のみならず、海洋資源・エネルギー開発にも寄与できる技術であり、これを広く活用することが望まれる。  本講演では、国家基幹技術の一つである「次世代深海探査技術」の研究開発の現状について報告する。

 15:05-15:20  休憩       

 15:20-15:50  日本における深海科学掘削の現状と必要となる掘削技術について

           () 海洋研究開発機構 地球深部探査センター 和田 一育 氏

海洋研究開発機構では、巨大地震発生のしくみ、将来の地球規模の環境変動、生命の起源、新しい海底資源の解明などを目的として地球深部探査船「ちきゅう」を建造、統合国際深海掘削計画(IODP)のもと「ちきゅう」を運用し、これまでに多くの成果を上げている。昨年の南海掘削では、堆積岩と基盤岩の境界部を確認し基盤岩を構成する枕状玄武岩溶岩の回収に成功している。しかし、人類史上初めてのマントル採取や巨大地震発生域への大深度掘削を可能にするためには、掘削技術の更なる開発及び新しい研究者の育成が必要となってくる。  本講演では、地球深部探査船「ちきゅう」における科学掘削の現状と現在進めている技術開発について報告する。

15:50-16:20  海底拡大系のダイナミクス

       神戸大学内海域環境教育研究センター 島 伸和 准教授

海底拡大系は全地球を覆う形で分布している.そこでは、離れていく2つのプレート間を埋めるようにマントル物質が上昇し、圧力減少にともなってメルトが生じ溶融帯を形成する.生じたメルトは、溶融帯からマグマだまりに移動し、最終的に海洋地殻へと固化していく.このようなマントルからの地殻の生産プロセスが、大規模な火山活動という形で行われており、これは固体地球内部の物質移動と分化の最も基本的なプロセスの1つである.海底拡大系のダイナミクスを理解するために、様々なアプローチで、多様な拡大系を対象にした研究がなされているが、本講演では、地球物理学的な観測手法に焦点をあてて、最近多くの研究がなされているマリアナ背弧海盆拡大系での研究成果を中心に紹介する.

  16:20-16:50  流出油対応技術の研究開発

              ()港湾空港技術研究所 藤田 勇 氏

2010年4月20日にメキシコ湾で発生した海底油田掘削リグの爆 発炎上事故は、数日後リグが沈没し、 海底の破壊されたパイプラインからは油流出が継続しており、1989 年アラスカにおいて発生した エクソンバルディーズ号による油流出事故の規模に肉薄するものとなっ ている。 国内においては1997年に発生したナホトカ号事故以降、幸いに して大規模な油流出を経験していないが、 この様な事故の事例は他山の石としても油流出による海洋汚染の危険 性を再認識する契機となる。 本講演ではメキシコ湾における油流出事故を概観するとともに、主 に当研究所で行っている油濁対策に 関する研究開発について紹介する。

16:50-17:20  リスク評価のためのプラント災害シミュレーションの開発

      大阪大学大学院工学研究科 倉敷 哲生 准教授

産業界がリスクをメンテナンスの基準にする特徴の一つとして,影響度の評価が挙げられる.米国石油学会(API)により開発されたRisk Based Inspectionでは石油化学をターゲットとして,可燃性等を有する流体の漏洩を想定事象として影響度を評価している.発表者らは,このような影響度の評価手法として,石油化学プラント周辺領域に影響を及ぼすタンク火災・延焼や毒性気体拡散を対象としたシミュレーションの開発を行っている.研究例として,タンク内容物の流出・蒸発・拡散シミュレーションや,タンク全面火災時のふく射熱評価,延焼・消火効果の評価などについて紹介する.

 17:40-19:40  懇親会    大阪大学 カフェテリア匠