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7回海中システム研究会

 
第7回海中システム研究会 講演プログラム

 (平成20年7月29日(火) 於.大阪大学吹田キャンパス)

 

[プログラム]
13:00〜13:30 「固体高分子燃料電池を電力源とするマイクロ魚ロボットの開発」 
        高田洋吾 (大阪市立大学大学院 工学研究科)

13:30〜14:00 「主翼独立制御型水中グライダーの開発」
       有馬正和 (大阪府立大学大学院 工学研究科)

14:00〜14:30 「生物模倣型水中ロボットの運動と制御の数値シミュレーション」
        鈴木博善、加藤直三 (大阪大学大学院 工学研究科)

(14:30〜14:50 休憩)

14:50〜15:20 「深海底鉱物資源採鉱システムと採鉱機の現状」
        山崎哲生(大阪府立大学大学院 工学研究科)

15:20〜16:50 「“群知能海中ロボットシステムの調査研究”分科会について」
        有馬正和 (大阪府立大学大学院 工学研究科)

16:50〜16:20 「浮流重油自動追従ブイの実海域実験」
               千賀英敬、加藤直三(大阪大学大学院 工学研究科)

16:20〜      大阪大学 船舶海洋試験水槽にて“浮流重油自動追従ブイの水槽実験の見学”
                加藤直三(大阪大学大学院 工学研究科)
 
講演概要

(1)「固体高分子燃料電池を電力源とするマイクロ魚ロボットの開発」

        高田洋吾 (大阪市立大学大学院 工学研究科)

水害発生地区における被災者捜索支援活動や工場配管内部壁損傷確認などに,メダカと同程度の大きさで,自律的に長時間行動できるマイクロロボットが有用である.本研究では,固体高分子燃料電池(PEFC)を電力源としたマイクロ魚ロボットの運動能力および遊泳持続能力の向上を目的とする.市販されているPEFCは,サイズが大きすぎるため,超小型・軽量の固体高分子燃料電池(Power Tube)を開発した.本講演では,水素やメタノールを燃料とする様々な魚ロボットについて紹介する.磁石とコイルで構成される小型アクチュエータは消費電力が低く,これを用いて試作したマイクロ魚ロボットは,メタノール燃料でも良好に遊泳した.


(2)「主翼独立制御型水中グライダーの開発」

      有馬正和 (大阪府立大学大学院 工学研究科)

本講演では,現在,大阪府立大学で開発を進めている「主翼独立制御型水中グライダー」の紹介をする。水中グライダーは,推進器を必要とせずに重力と浮力のバランスを変化させながら翼にはたらく流体力によって前進するため,機構が単純で,エネルギー効率も高く,環境にもやさしい水中ビークルである。提案する「主翼独立制御型水中グライダー」の特長は,左右の主翼を独立に制御することによって運動性能を高め,既存の水中グライダーに比べて大きなグライディング比で潜航ができるということである。回流水槽における三分力試験およびCFD(計算流体力学)による機体の性能評価,自律制御システムの構築,水槽試験の様子を映像も交えて紹介する。


(3)「生物模倣型水中ロボットの運動と制御の数値シミュレーション」         

      鈴木博善、加藤直三 (大阪大学大学院 工学研究科)

これまで大阪大学では、CFD手法を用いて、胸鰭運動装置周り流れの数値解析、これを2対有する生物模倣型水中ロボット周り流れの数値解析、これに6自由度の運動方程式を連立させた水中ロボットの運動シミュレーション法の開発、およびこの運動シミュレーション法に制御アルゴリズム(ファジー制御)を組み込んだ運動シミュレーション法の開発を実施してきた。 今回は、上に示した制御アルゴリズムを組み込んだ運動シミュレーション法を用いて、生物模倣型水中ロボットの移動距離制御およびPTP制御を行った。移動距離制御では、制御パラメターの変更で水中ロボットの運動が変化すること、PTP制御では、目標点に到達することが確認された。


(4)「深海底鉱物資源採鉱システムと採鉱機の現状」          

      山崎哲生(大阪府立大学大学院 工学研究科)

インド、中国、韓国の自走式マンガン団塊採鉱機の実験機が出揃った。また、黒鉱型海底熱水鉱床をめざすNautilis社とNeptune社の採鉱システムもその概要が明らかとなった。マンガン団塊については、その開発可能性を見直す動きが世界的に広がっている。これらの状況について紹介するとともに、日本がめざすべき黒鉱型海底熱水鉱床採鉱システムについて考察する。

(5)「“群知能海中ロボットシステムの調査研究”分科会について」

   有馬正和 (大阪府立大学大学院 工学研究科)

研究調査用の海中ロボットは,建造や運用に多大なコストを要することから,単独で運用されることが多いようである。しかし,複数の海中ロボットが情報を共有し,互いに協力しあって作業を補完し,効率的なデータ収集等をすることも必要になってくると思われる。既にマルチエージェントモデルの提案や複数機の水中グライダーによる海洋観測の研究が進められているが,さまざまな海中機器を有機的に結びつけて「群知能水中ロボットシステム」として活用することを考える。この分科会では,群知能海中ロボットに関するこれまでの研究の調査や,群知能海中ロボットシステムのニーズ調査,ハード面・ソフト面・利用面などの検討などを行う予定である。


(6)「浮流重油自動追従ブイの実海域実験」

      千賀英敬、加藤直三(大阪大学大学院 工学研究科)

ナホトカ号の大規模重油流出事故後も、船舶からの油流出事故は世界各地で発生している。 重油流出事故への対策として、本研究室では浮流重油自動追従ブイシステムの開発を目指している。本システムでは、重油を自動追従しながら、周囲の気象・海象データを地上局に送信する浮流重油自動追従ブイを用いることにより、リアルタイムでの流出重油の監視、沿岸への漂着前に地上局であらかじめ対策を講じることが可能となる。 現在までに、水槽実験用のブイ模型を用いた運動性能実験、誘導制御実験を行ってきた。今回、各種センサー類を搭載した実海域実験用のブイを新たに製作し、静岡県沼津市内浦湾にて、平成20年1月21日〜23日、2月18日〜20日の2期間にわたり、実海域実験を行った。本講演では、この実海域実験の結果と新たに得られた課題について報告する。