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6回海中システム研究会

 第6回海中システム研究会 講演プログラム
(平成19年12月19日(水) 於.大阪大学吹田キャンパス)


[プログラム]

13:00〜13:30 「"ちきゅう"による南海トラフ掘削計画」
        和田 一育(海洋研究開発機構)

13:30〜14:00 「九州大学応用力学研究所におけるバーチャルモアリング用海中ビークルの
研究開発」            中村 昌彦(九州大学応用力学研究所)

14:00〜14:30 「南海海域における音波伝搬シミュレーション」
        土屋 健伸(神奈川大学工学部)

(14:30〜15:00 休憩)

15:00〜15:30 「ファジィ理論を用いた適応型オートパイロット」
        前野 仁(古野電気梶j

15:30〜16:00 「MTS/IEEE Oceans 2007 in Vancouver 報告」
        千賀 英敬(大阪大学大学院)

16:00〜16:30 「Mini Underwater Glider for Education」
Dr. Chunzhao Guo(Osaka University)


[概 要]

(1)「"ちきゅう"による南海トラフ掘削計画」
  和田 一育(海洋研究開発機構)
 地球深部探査船「ちきゅう」によるIODP(統合国際深海掘削計画)の科学掘削が9月25日より開始された。場所は熊野灘沖の南海トラフ水深2,000mから4,000mの海域で、プレートの沈みこみ帯を南北に横断する形で掘削が行われる。複数箇所を断層まで掘削することによって地震発生のメカニズムを明らかにするこのプロジェクトは、NantroSEIZEと呼ばれ4ステージで構成される。本年度は、その第1ステージであり、来年2月5日までの137日間、研究航海が実施される。第1ステージはライザーレス掘削で行われ、ライザー掘削は、来年度に予定されている。
 この海域は研究ニーズが高く科学者から掘削が切望されてきた場所であるが、ODPのジョイデスレゾリューション(ライザーレス掘削)においても、地層が複雑であり孔内トラブルが頻発したことから、掘削が困難場所として知られている。調査結果の詳細をまだお伝えすることは出来ないが、このプロジェクトの意義、研究航海の様子について報告する。


(2)「九州大学応用力学研究所におけるバーチャルモアリング用海中ビークルの研究開発」
        中村 昌彦(九州大学応用力学研究所)
近年全地球規模における環境変化の予測、環境保全に関する研究がますます盛んになってきている。これらの研究を行うためには地球環境に大きな影響を及ぼす海洋の時間的・空間的な観測データが必要であり、係留系による観測が広く行われてきた。ところが、係留系の設置にはその設計から投入まで多大な労力と費用が必要となる。このような問題点を解決し、観測対象海域において鉛直空間・時間連続データを取得するために、九州大学応用力学研究所ではバーチャルモアリング用水中ビークルを開発中である。
本講演ではシミュレーション計算、建造中のバーチャルモアリング実証用ビークル、動作試験、ビークルの投入・回収方法等の開発過程を紹介する。


(3)「南海海域における音波伝搬シミュレーション」
        土屋 健伸(神奈川大学工学部)
 地球環境の調査と保全の観点から,極域,特に南極海域において様々な海洋計測が行われている.しかし,南極大陸の周囲の浅海域は厚い海氷に覆われているため,海氷下の広域観測は難しく,測定に要する時間も通常の海域より大幅に増加する.そのため自律型水中無人探査機(AUV)を使用した海氷下の広域環境観測が計画されている.
水中でAUVを遠距離制御するには音響通信がよく用いられる.一般に近距離での水中の音波伝搬はほぼ直進するが,南極海域の浅海域では深度に対して音速は単調増加するため,音波は屈曲しながら伝搬する.また海底深度の変化も激しく,さらに表層の氷の影響もあるために伝搬特性も単純ではないことが予測される. そこで,本報告では南極海の浅海域における音波の伝搬特性を把握するため,音線理論と放物型方程式法による解析を行った.想定海域の南極の浅海域であるリュツォ・ホルム湾において,音波の伝搬経路と到達時間,海面・海底反射回数などを求めて,その結果を検討する.


(4)「ファジィ理論を用いた適応型オートパイロット」
        前野 仁(古野電気葛Z術研究所研究部)
小型船舶の動特性は,船の状態(船速,載貨状況など)や外乱(波,風,潮流による外力)の影響のために大きく変化する.従って,固定式PID方式のオートパイロットでは,常に良好な保針性能を維持することは難しい.また,従来の大型船舶用適応アルゴリズムを用いるとしても,小型船舶ではオンライン・システム同定や規範モデルの設定が困難なので,良好な結果を得ることが難しい.
本研究では,新しい船体挙動評価手法を提案し,それと教師無し学習を組み合わせることによって,オンライン・システム同定や規範モデルを必要としない適応型オートパイロットを実現した.更に,実機による検証によって,固定PID方式よりも保針性能が大幅に改善することを確認した.


(5)「MTS/IEEE Oceans 2007 in Vancouver 報告」
        千賀 英敬(大阪大学大学院工学研究科)
2007年9月29から10月4日までバンクーバーにて開かれたOceans2007に参加した。Exhibitor Boothに展示されていたROVやソナーなど、近年の海外の水中ロボットについて報告する。また、同学会開催時には(社)海洋産業研究会、MTS日本支部、(社)日本深海技術協会の三者で共催されたOceans '07調査団が編成され、International Submarine Engineering, Ltd(ISE社)、Kongsberg-Mesotech社、Nuytco社の3社を訪問した。その内容についても報告する。


(6)「Mini Underwater Glider for Education」
Dr. Chunzhao Guo(Osaka University)
An underwater glider is a type of autonomous underwater vehicle (AUV) that uses small changes in its buoyancy in conjunction with the internal mass redistribution to convert vertical velocity to horizontal motion with the help of fixed-wings, and thereby propel itself forward in sawtooth paths with very low power consumption. It has the advantages of low noise, long range, long duration and cost-efficiency. This report presents the design, manufacturing and motion analysis of the simple underwater glider model we built. Furthermore, the key design challenges as well as the solutions are discussed, and some useful tips are given.





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