趣  旨 科学立国日本にとって,次世代を担う若手研究者・技術者を育てること,すなわち知識・技術の伝承は最も重要な国策の一つであり,それは船舶海洋工学の分野においても全く同じです。「船舶海洋」を学科名やコース名に掲げる大学では,それぞれに充実した内容の講義が行われているはずであり,それを基に熱意を持って教育をすれば心配するに及ばずと思われるかもしれません。造船関連の企業においても然りかもしれません。しかし,他大学の学生・教員や社会人と寝食を共にして交流し,他大学の先生の講義を聞くことによって大いに刺激を受け,「井の中の蛙」から世界の大海に飛躍するきっかけを掴むことができるかもしれません。何事も一流になるためには,全国レベル・世界レベルの刺激,切磋琢磨の努力が重要だと思います。
そのような機会を学生,若手研究者・社会人に提供するため,日本船舶海洋工学会では,推進性能・運動性能の分野だけですが,二泊三日の研修スタイルで行う「夏の学校」を企画・実施することに致しました。この「夏の学校」の目的は,単に参加して講義を聴くだけでは達成できません。企画・準備にも積極的に関与することによって,次世代のリーダーとして必要なリーダーシップの資質が養われるはずです。そのような前向きな考え方を持ち,是非積極的に参加して視野を拡げて頂きたいと願っております。
開催期日 平成21年9月18日(金)〜20日(日)
開催場所 東京大学山中寮(スポーティア山中) 会議室
〒401-0502 山梨県南都留郡山中湖村平野506-296
http://www.undou-kai.com/sportia/
http://www.yamanakako.gr.jp/other/access.php
参 加 費 学生: 5,000 円, 一般(社会人): 10,000 円
宿泊研修費(2日分)すべて込みです!
申込方法 参加申込書(WORDファイル, PDFファイル)をダウンロードし,必要事項を記入の上,
下記の申込先まで Email にて送信して下さい。
申 込 先 伊藤 翔 博士後期期課程1年
東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻
東京大学生産技術研究所機械・生体系部門 木下研究室所属
〒153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1 De202
Email: jasnaoe.summer2009@gmail.com  :「夏の学校」申し込み&問い合わせ用アドレス
     :伊藤 翔 個人アドレス
Tel: 03-5452-6098(内線: 57341)
申込締切 平成21年9月6日(日)

第1日目:9月18日(金)
  受付
13:00〜 特別講義その1:学生のグランド開墾から始まった山中寮の歴史
木下 健(東京大学 生産技術研究所 教授)
14:45〜 特別講義その2:日本におけるヨットデザインの現状
林 賢之輔(林賢之輔設計事務所)
16:30〜 特別講義その3:文化と技術 -- 持続的価値と具体化 --
児玉良明(海上技術安全研究所 CFD研究開発センター 上席研究員)
18:15〜 夕食・懇親会
20:00〜 講師を囲んでの交流会

第2日目:9月19日(土)
  朝食
08:45〜10:15 基礎講座テーマその1: プロペラ・性能とキャビテーション−第1部
川村隆文(東京大学 大学院工学系研究科 システム創成学専攻 准教授)
10:45〜12:15 基礎講座テーマその1: プロペラ・性能とキャビテーション−第2部
川村隆文(東京大学 大学院工学系研究科 システム創成学専攻 准教授)
  昼食
13:30〜15:00 基礎講座テーマその2: 3次元浮体と水波の相互作用・数値計算法−第1部
柏木 正(大阪大学大学院工学研究科 地球総合工学専攻 教授)
15:30〜17:00 基礎講座テーマその2: 3次元浮体と水波の相互作用・数値計算法−第2部
柏木 正(大阪大学大学院工学研究科 地球総合工学専攻 教授)
18:00〜 夕食
20:00〜 課題研究とその発表会(検討中)

第3日目:9月20日(日)
  朝食
08:45〜10:15 基礎講座テーマその1: プロペラ・性能とキャビテーション−第3部
川村隆文(東京大学 大学院工学系研究科 システム創成学専攻 准教授)
10:45〜12:15 基礎講座テーマその2: 3次元浮体と水波の相互作用・数値計算法−第3部
柏木 正(大阪大学大学院工学研究科 地球総合工学専攻 教授)
12:15〜12:30 修了式,解散
  昼食

その他注意点
  • 基礎講座テーマその2: 3次元浮体と水波の相互作用・数値計算法
    では,基本的に下記教科書の第4章〜第6章を使います。
    実践 浮体の流体力学(前編−動揺問題の数値計算法)
    成山堂書店(ISBN4-425-71321-4)

    既に購入している人は持参して下さい。まだの方は,できれば事前に購入して持参して欲しいのですが,不可能な方のために,第4章〜第6章の PDF ファイル をリンクしておきますので,事前に取得し,自分でプリントアウトして持参して下さい。(もちろん事前に勉強しておいて下さることを期待しています。)

  • また第4章での重要な参考文献は
    Newman, J. N.: Distributions of Sources and Normal Dipoles over a Quadrilateral Panel
    Journal of Engineering Mathematics, Vol.20, 1986.
    です。内容は難しいかもしれませんが,この PDF ファイル もリンクしておきますので,自分でプリントアウトして持参して下さい。

  • FORTRAN プログラムを自分で走らせたり,少し修正して確かめたりすることになると思いますので,できれば FORTRAN コンパイラーをインストールした自分のパソコンを持参して下さい。 そう言えば,第4章〜第6章で提供しているソースプログラムも事前にお渡ししておく方が良いですよね。 ここをクリック して取得し,自分のパソコンにコピーしておいて下さい。

  • 上記の教科書の第5章は「自由表面グリーン関数」の数値計算法に関する解説ですが,ベッセル関数など特殊関数が沢山でてきます。これが気になる人・深く知りたい人のために,私が学生時代に書いた「造波理論のための数学」がありますので,それをスキャンして作成した PDF ファイル をリンクしておきます。興味のある方はコピーしておいて下さい。

  • 「夏の学校」に参加された方々のためにご褒美の情報です。課題にした浮体の前後対称性を前提としない計算プログラムの作成方法は,無限流体中での付加質量の計算に対して解説しましたが,自由表面影響を含む場合の計算プログラムに対しても作成して正しく動作することを確認しました。興味のある方のために ここ にリンクしておきますので,ご自由にダウンロードして下さい。